1.箸を間違えた

 

 

 目の前にいるが使っていたのは、自分の箸だった。

「……え? あ、ホントだ。ごめん、間違えたみたい」

 それを指摘すると、今まで使っていた箸をこちらに渡し、自分の箸を受け取る。

「……酷いな、私の口の中、そこまで汚くないよ」

 彼女が使った自分の箸を洗う為に流しに立つと、背後から不服そうな声。

 

 

 別に汚いと思った訳ではない。

 ただ、その、今そのままこれを使ったら。

 

 間接キス、に、なると、思ったのだ。

 

 

「ホント、潔癖性だよねぇ。私は君が使った箸でも平気だけどなぁ」

 呆れた様なの声に、怪しまれずに済んだと、普段の自分の行動に感謝した。